作戦会議のホンネ

「若手採用を諦めろ」は言いすぎだけど、40代を見ていない会社は損している

採用費を使っても使っても、若手から応募が来ない——そんな経験、ここ数年で増えていませんか?

求人媒体に掲載して、エージェントに依頼して、スカウトを打って。
それでも「いい人が来ない」「内定辞退が続く」という声は、私たちが支援する現場でも日常的に聞こえてくる。

この記事では、「若手採用」一辺倒になりがちな採用戦略に、もう一つの選択肢を提案する。
40代前半という“見落とされがちな市場”が、実は今もっともコスパの高い採用ターゲットになりつつある理由を、現場の実態から解説していく。

「若手が来ない」と嘆く前に、一度立ち止まってほしい

「最近、若い人が本当に採用できなくなった」

この5年で、クライアントからこの言葉を聞く頻度が明らかに増えた。
リクナビ・マイナビへの掲載費が上がり、エージェントへの成功報酬も高騰し、スカウト媒体の競争率は跳ね上がっている。

「若手が来ない」のは、あなたの会社だけの問題ではない。構造的な問題だ。正直に言う。

今、採用市場で起きている「静かな構造変化」

起きていることを整理するとシンプルだ。

  • 少子化で若手の絶対数が減っている
  • 大手・知名度ある企業が採用強化に本気を出し始めた
  • 結果、中小・ベンチャーへの若手流入が激減

ここで多くの企業は「じゃあ採用費をもっとかけよう」という方向に動く。でも、それは正解ではない。費用対効果が悪化する一方だから。

弊社のクライアントでも、40代以上を対象とした求人の相談件数は、1年前と比べて体感で1.5倍以上に増えている。

40代前半が「今の採用市場でもっともコスパが高い」3つの理由

結論から言う。40代前半は、今の採用市場における”ブルーオーシャン”だ。

多くの企業がまだ本格的に参入していない。競合が少ない分、採用競争が起きにくく、コストも相対的に抑えられる。そのうえで、即戦力として動いてもらえる可能性が高い。

「1社3〜5年が長い」時代の、リアルな在籍ROI計算

今の転職市場では、1社に3〜5年勤めれば「長い方」という感覚が当たり前になってきた。20〜30代で転職を繰り返すことへのネガティブな評価はほぼなくなり、「多様な経験を積んだ人材」という見方が主流だ。

弊社クライアントの実感値として、採用費100万円をかけて3年で退職された場合と、80万円で10年以上働いてもらった場合を比べると、経営判断として後者が合理的なのは明らかだ。他社がまだ気づいていない今が、先行して動けるタイミングでもある。

「柔軟性と素直さ」——実は40代の方が見極めやすい

もしかして、「40代は頭が固そう」と思っていませんか?

それは年齢の問題ではなく、本人の資質の問題だ。
重要なのは素直さと柔軟性を持てるかどうか——そしてこれは、面接で適切な質問をすれば、20代よりも確度高く見極められる。

見極めに使える質問は3つ。

  1. 「前職でうまくいかなかった経験を教えてください。その後どう変えましたか?」→ 変化への対応力と素直さが見える
  2. 「入社後の最初の3ヶ月で、どんなことをしたいですか?」→ 自分のペースで進もうとしているか、組織に溶け込もうとしているかが分かる
  3. 「これまでで、一番”教えてもらう側”だったと感じた瞬間は?」→ 学ぶ姿勢が今も続いているかどうかが確認できる

素直さと柔軟性がある40代は、経験値というプラスを持ちながら、組織にフィットしてくれる。
「経験があって素直な人材」は、採用市場で最も希少価値が高い。

 

35歳限界説が崩れた、本当の理由

「35歳を超えたら採用は難しい」——この常識が生まれたのは、終身雇用・年功序列が当たり前だった時代の話だ。「途中入社 = 組織に馴染めない人」という偏見があり、企業側も若手を育てる前提で採用していた。

今は違う。転職が当たり前になり、「キャリアを自分でつくる」という考え方が浸透した。企業側も「育てる余裕」より「即動ける人材」を求める方向にシフトしている。

35歳限界説は急速に意味を失った。業界メディアでもこのトレンドは注目されており(参考:Forbes Japan 2025年記事)、私たちが現場で感じている変化とも一致する。今、40代以上の採用は明確に増加している。

40代採用で失敗しないための、正直な注意点

ここまで40代採用のメリットを書いてきたが、正直に書く。
うまくいかないケースもある。よくある失敗パターンは2つだ。

① 条件面の期待値ズレ
前職で管理職だった人が年収を大きく下げて入社する場合、入社後に不満が出やすい。オファー前に「なぜこの年収か」「どうなれば上がるか」を丁寧に伝え、納得してもらってから内定を出すこと。

② オンボーディング設計の甘さ
「40代なんだから、放っておいても大丈夫だろう」は禁物。
前職の経験が豊富なほど、新しい環境での「立場の変化」に戸惑いやすい。最初の90日間に小さな成果を出せる環境を意図的につくること。

それがその後の定着率を大きく左右する。

まとめ:採用のブルーオーシャンは、意外と近くにある

若手採用に疲弊しているなら、今すぐ40代前半に目を向けてほしい。採用競争が本格化する前に動いた会社が、次の3〜5年でリードを取る。
 
明日からできる3つのアクション
  1. 求人票の対象年齢を見直す — 「35歳まで」と設定しているなら、一度「45歳まで」に広げてみる。母集団が変わる
  2. 面接に「柔軟性と素直さ」を見極める質問を1つ加える — 上記のサンプルからそのまま使ってOK
  3. 採用後の90日間オンボーディング計画を事前につくる — 入社前に「最初の3ヶ月でやること」を書き出すだけでいい

弊社が支援してきた中でも、40代での転職に踏み切った候補者が「この会社に来てよかった」と言う場面に、何度も立ち会ってきた。年齢でフィルターをかけていたら、その出会いは生まれていない。
 
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